〜調理現場の負担を軽減し、食の安心を支えるパートナー〜
介護施設における「食事」は、単なる栄養補給の手段にとどまりません。
ご利用者様の健康管理、生活の楽しみ、コミュニケーションのきっかけといった、施設運営の中核に位置づけられる重要な役割を担っています。
しかし、現場では調理職員の人手不足や採用難、調理業務の複雑化など、さまざまな課題に直面しているのも現実です。
そんな中で近年、多くの施設が取り入れ始めているのが「完全調理済み食品(完調品)」です。
■ 「完全調理済み食品(完調品)」とは?

完全調理済み食品(完調品)とは、食材の下処理から炒める・煮る・焼くなどの調理工程をすべて工場で終えた状態で提供される食品を指します。
施設側では湯せん・スチームコンベクションオーブン・電子レンジなどで加熱するだけ。
包丁や火を使うことなく、すぐに提供できることが最大の特徴です。
一般的な冷凍食品と異なり、「一部調理」ではなく「完全に仕上がった料理」であるため、まさに“もうひとりの調理スタッフ”として厨房を支えてくれる存在といえるでしょう。
■ 他の食品形態との違い
完全調理済み食品と聞くと、レトルトやチルド食品とどう違うのか疑問に思う方も多いかもしれません。以下にその違いを簡単に整理します。
食品区分 | 保存方法 | 主な特徴 | 調理現場での扱いやすさ |
レトルト食品 | 常温 | 高温殺菌による保存性/食感の劣化あり | ◎(保管は容易だが風味に課題) |
チルド食品 | 冷蔵 | 保存期間は短め/食感は良好 | △(管理がやや煩雑) |
完全調理済み冷凍食品 | 冷凍 | 瞬間冷凍で食感・風味を維持/長期保存可能 | ◎(在庫管理・品質の安定性に優れる) |
とくに介護施設においては、一定の品質と食形態対応が求められるため、食感の再現性や保存のしやすさを両立した冷凍タイプの完全調理済み食品が注目されています。
■ 介護施設が抱える課題と「完全調理済み食品」の必要性
● 人手不足と調理業務の属人化
厨房のスタッフ不足は年々深刻化しています。特に早朝や夕方などのシフト確保が難しい時間帯は、調理の負担が大きくなります。また、熟練スタッフに調理が集中しやすいという属人化の問題も。
→ 完調品を使えば、新人スタッフや派遣スタッフでも一定の品質で調理・提供が可能になります。ベテランの経験に頼らず、調理業務を平準化できます。
● 多様な食形態対応(常食・やわらか食・ムース食など)
高齢者施設では、咀嚼や嚥下能力に応じて、同じ料理でも複数の食形態が必要です。調理の手間だけでなく、見た目・味のバランスも求められるため、現場には相当な負担がかかります。
→ 完調品には、ムース食・ソフト食・刻み対応など多様なラインナップがあります。見た目が自然で、利用者の「食べたい」という意欲を引き出す工夫が施されている商品もあります。
● 衛生管理・HACCP対応
HACCP(Hazard Analysis Critical Control Point:危害分析重要管理点)の制度化以降、食品の加熱温度や保存温度の管理はより厳しくなっています。人手の少ない厨房で、すべてをマニュアル通りにこなすのは至難の業です。
→ 完調品はすでに加熱済み・急速冷凍された状態で納品されるため、食中毒リスクを大幅に軽減できます。再加熱だけで提供でき、HACCPの対応もスムーズです。
■ 導入による具体的なメリット
☑ 調理時間の大幅短縮
朝食や夕食など、人手が足りない時間帯の対応がスムーズに。スタッフの負担を軽減。
☑ 人員配置の柔軟化
調理技術が不要になることで、配置換えや新人採用も円滑に。
☑ 味の均一化と品質安定
誰が調理しても同じ味。クレームの防止にもつながります。
☑ 在庫・献立管理がしやすい
栄養成分・アレルゲン情報も明示されており、栄養士の献立計画にも対応。
☑ 介護度に応じた柔軟な提供が可能
常食・ミキサー・ムースまで、幅広くカバー。
■ 現場の声
「朝の対応人数が少なくても、焦らずに提供できるようになりました」
(グループホーム/施設スタッフ)
「見た目もボリューミーで、食欲が戻った方もいました」
(デイサービス施設/調理スタッフ)
「新しいスタッフでも即戦力に。厨房の教育負担も軽減されました」
(有料老人ホーム/管理者)
■ これからの介護食は、「調理する」から「仕組みで支える」へ
介護施設の調理は、単に“料理を作る”作業ではありません。
利用者の身体状況を踏まえ、栄養バランスを考慮しながら、安心・安全に食を届ける“ケア”の一部です。
完全調理済み食品は、調理そのものを代行するだけではなく、人の時間・気持ち・現場のゆとりを生み出す仕組みとして、これからの介護のあり方を支えていくと考えられています。
■ 次回予告:「ムース食・やわらか食」の工夫と選び方
次回のコラムでは、「食形態の選定に悩んでいる」「ムース食の味がイマイチ…」という現場の声にお応えし、形態別商品の選び方や、見た目・味・栄養面の工夫をご紹介します。
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